コラム - 院長より

 

Vol.4 2003/08/22

言葉のパワー

小諸なる古城のほとり、雲白く遊子かなしむ。
みどりなす はこべはもえず、 若草も敷くによしなし、、、、

 島崎藤村の有名な千曲川旅情の歌です。流れ行く川面に、躍動していた自らの青春を重ねあわせていたのでしょうか? 肉体は歳月とともに変化し、時に薬やメスでの治療が必要になります。ひとの心は、もっと微妙に変化し続け、言葉により傷つき癒されます。医者の一言がどれほど患者さんの心と体を左右しているか、今に言われ始めたことではありません。最近では心ないドクターの言動が患者さんを傷つける「ドクハラ」なる言葉もみられます。

 私は長年、病んだ脳にメスを入れてきた外科医です。くも膜下出血や脳腫瘍の患者さんが、術後、笑って退院されたときの喜びは忘れられません。そして今、心の病でふさいでいた方が数ヵ月の治療後に笑顔で診察室を出て行かれる時、同じ嬉しさを感じています。いつも来院されている患者さんが、パッタリこなくなると心配してしまいます。私もその患者さんから、パワーをもらっていたと気づく時です。

 薬やメスだけでなく、言葉による治療に重きをおくのは心療内科や神経科ですが、私は言葉を大切にした“心療脳神経外科"なるものもあってもいいかなと思います。