コラム - 院長より

 

Vol.5 2003/10/22

主侍医でいること

 現在の医療制度では、病気になって入院してもその病院には2~3ヶ月しか入院することができません。私はこれまでに何例もの脳手術を行ってきました。術後よくなって退院できた方は別として、不幸にも意識が戻らなかった方々は3ヶ月たつと、他の病院に転院しなくてはなりませんでした。

 これは主治医にとってもつらいことです。その後、その患者さんがどうなってしまったのか、ほとんどの場合はわかりません。おそらく転院先の病院でも3ヵ月後には同じことが繰り返されていたのではないかと思います。きっとご家族の皆さんは行く先々の病院で、いつもその場限りの説明を受けては転院を繰り返す、心配な日々を送られていたと思います。

 病院には病を治す主治医がいます。しかし、その病院をひと度退院した後の世界には、患者さんや家族の味方になり常に支えになってくれる医者が不在です。病気になる前から常に健康状態を把握し、いつもその患者さんや家族の近くにいて気軽にコミュニケーションを持てる医師が絶対必要であると思います。

 いままで言われてきたホームドクターはある程度これに近いものであったと思われます。しかしこれからの時代には、発病時に病院を紹介するだけではなく、病気になる前も、入院後の治療を受ける際も、また転院しなければいけない時も、常に患者さんと家族のかたわらに侍(はべ)って、まるで顧問弁護士のように支える主“侍”医が、我々開業医には求められると思います。