コラム - 院長より

 

Vol.14 2004/07/08

訪問診療で思ったこと 痴呆高齢者の受け入れ体制

 自営業をしている息子さんご夫婦が91歳と86歳のご両親を介護しているご家庭に伺った時のことです。ご両親は残念ながらかなりの痴呆症で、頑固で周囲に耳をかさず、今のことすぐ忘れてしまう、風呂に入らない等、介護者を困らせるお二人でした。週二回訪問していた私自身も伺う度に「あんたは誰? 何しに来た?」と聞かれる状態でした。

 ある日訪問したところ、非常に暑い部屋の中で、お父様は机に座っており、奥様は気分が悪いとのことで服のまま布団にくるまって寝ておられました。当然ながら汗でびっしょりでした。そこで息子さんご夫婦に室温調節をお願いしたところ、ヘルパーさんも先生も、いつもこうしろああしろと私たちに押しつける。私たちも仕事がありいつも見てられない。お嫁さんは涙を流して訴えられました。限界だと思った私は、ショートスティを勧めたところ、ご主人から、何度も利用したが、夜中に興奮する、暴言があるとのことで時間を問わず迎えに来いと言われる。何のためにお願いしたかわからない。二度と利用しようとは思わない。先生は現場を知らない。訪問診療にはもう来ていただかなくて結構、と言われました。

 私は痴呆高齢者の受け入れ体制についての現在の典型的な問題点が、ここに浮き彫りにされているように感じました。痴呆のある方の受け入れ制度について、私も微力ながら世の中に働きかけていきたいと思います。