コラム - 院長より

 

Vol.33 2006/02/15

インフォームドコンセントは説明と同意だけではない

 知り合いの方が病気になられて、ご家族とともに、あちこちの先生にセカンドオピニオンを求めに行かれた時のことを話してくださいました。何箇所かに行ったそうですが、そのお一人は自由診療の開業医の先生で、検査がこの間隔で必要な意味、この薬が必要な理由、こうなったら早めにこうした方がよい、これから起る可能性のある状態等、三十分以上も話してくださりとても安心したとのことでした。次のお一人はとても高名な大学の現役教授であり、一時間近くも遅刻した上に、事情を話し手持ちの写真を見せたところ、あぁ~、これは私のところではすることはなにもない。何しに来たの?と、学生や研修医の前で言ったそうです。

 医療界でインフォームドコンセントという言葉が使われはじめてから、二十年余がたちます。説明と同意と訳されました。特に危険度が高い種々の医療行為を行う前に医療者側がその内容を説明して、患者側がそれを同意し押印した時にのみ医療行為を行えるという意味でした。もともとこの制度は医療訴訟が多い欧米で始まった契約内容ですが、今の日本で、単に説明しました、印鑑をつきました、同意書をもらいましたということだけで十分でしょうか? 医療内容に詳しくない一般の方に、幾つかの選択肢を並べ、この中から一番良い医療を選んでくださいと説明しても、同意を得るには無理があると思います。

 医療にはいつも危険が伴います。結果もやってみなければ分からないところがあります。結果がよくなかったとき、型どおりの書面・捺印のみでどちらが正しかったかなどと争っても何か寂しいものです。説明・同意・捺印以外の何かが欠けていたのではないでしょうか?

 両者が挨拶をし、目を見て話し、そして心と心の通う患者と医師の信頼関係を築くことこそが、究極のインフォームドコンセントであると考えます。