コラム - 院長より

 

Vol.35 2006/04/15

内観の時

 クリニックには多くの方がさまざまな悩みを抱えてご来院になられます。ある時にはご高齢のご主人が車椅子の奥様を押して、遠いところから2週間に1回来院されます。またある時には、診察室に入るとともにため込んでいた涙をボロボロと流される方がおられます。皆さん頭痛・不眠・腰痛等の症状を訴えられてのご来院ですが、それ以上に、長い間誰にも話せず、1人で悶々と苦しんでこられたことをひしひしと感じます。私はこのような方々に接した時、その症状を取りたくクリニックにおみえになられただけでなく、できることならば一つでも二つでも、そのような苦しみの重石を取り除けるよう、及ばずながら手を差しのべたくなります。

 私たちは毎日それぞれの生活の中で、さまざまな経験をしてその中にいろいろな喜怒哀楽の情を感じます。自分の意思ではどうにもならない病気以外の体の症状は、感情の表れとして体が訴えている言葉であると感じます。医師がこの言葉を理解できないと、薬の量だけが増す治療になるのではないかと考えます。

 感情の乱れをじっと鎮めて、自分の内なる状態を観つめる時をもつことが必要であると強く思います。私のクリニック、私に診察室は、そのような場所でありたいといつも思っています。私自身から発するエネルギーがもしあるとすれば、それを少しでも感じて元気になってくださる方が一人でもいてくださればよいと願っています。私自身、このクリニックへ訪れる方々とのふれ合いの中から元気をいただいています。

 お帰りなさい、そして日常の世界へ行ってらっしゃい、私のクリニックはこのような会話ができる癒しの場をこれからも目指していきたいと思います。