コラム - 院長より

 

Vol.62 2008/7/15

可とり線香  60点でいい

 皆さん 暑中お見舞い申し上げます!
暑くなりましたが、体調維持にはくれぐれも気をつけていきましょう!!!

 気持ちが落ち込んで、涙が自然にでてきてしまう。会社のことを考えると、つい行けず欠勤が続いている。毎日が苦しくて苦しくて、生きていたくない!! こんな気持ちになり私とお話させていただく機会をもたれる方がたくさんおられます。
いろいろなことが全てうまくいって当然と考えると苦しくなってしまうと思います。なぜ自分だけこんな目にあわなければいけないのか? 会社のあの人が悪いから、家族がおかしいからといろいろ考えてしまいますね。また、人は悪くないけれども、毎日の仕事量が多すぎて、自分の時間がもてない、ゆっくり休めない、もうどうしていいのかわからないと思ってしまうとき、ふと考えていただきたいことがあります。
 今、周囲の環境に自分がしてほしいことのすべてを期待していませんか? 自分自身に完璧を求めていませんか? 周囲に完璧を求めない、自分のノルマも全部やらなくてはいけないという気持ちをやめて、6割やればいいのだと考えを変えてみませんか?
苦しくなったときは、会社の仕事も上司に怒られない程度にやる、いやな同僚とは仕事上の最低限のことだけで接する。ご自分を取り巻く環境がご自分にいいように簡単に全て変わることはありえません。家事も最低限やる。たとえば主婦の方でしたら、ご主人が留守の間のすべてを切り盛りしなくてはいけません。それが積み重なって疲れ果てたときは、ご自分をみつめる内観の時をつくるために、slow downです。
 私がこう思うのは、けして元気なときもサボれと言っているのではありません。元気なときは、思いっきりがんばるのです。世のため、人のためとともに、自分のためにがんばるのです。そしてひとたび疲れてしまったときには“サボる”のです。薬は回復のための一つのお手伝いに過ぎません。私自身も毎日の外来・在宅診療の中で、苦しくなることが良くあります。そんなときは、頭の中から完全にそのことを忘れ去る時間をつくるよう、わざと、考えないよう無理に頭の中のスイッチを切ってしまうことをやっています。勤務医となった最初のころは、うまくいきませんでした。あたまがいっぱいになってしまうことも良くありました。それから25年、いまでもまだ“サボる”ことはへたくそです。でも、まあ大体でいいや、これくらいで、60点取れればいいやと思うようになれました。思い起こすと学生時代も、100点近くをとろうとしてがんばると、遊ぶ時間もなくすごく大変でした。60点でいいやとなると、結構、楽でした。95点、100点とって優・良・可の優を得たところで、医者になった今、何も意味がなかったことに気がついています。むしろ、60点、評価は可、でもあの頃、時間をつくってバイトをして遊んでいた中から得たものに今の診療の中で、人と接する基盤ができたような気がします。会社員の方にも、主婦の方にも、そして学生さんにも、私はこの“可とり線香”の考え方をお気持ちの中に入れておいていただきたいと思います。そして、61点とれたら大成功!そのとき心はきっと元気になっています。60点でいい! これを忘れないで毎日の生活に戻ってみてください。


写真家わかば 撮影