コラム - 院長より

 

Vol.99 2011/8/15

親による幼児虐待死亡事件に思う

 昨今、物騒な事件が続いていることはご存知の通りです。表題のような痛ましい事件がまた続けて起きてしまいました。一つは里子をDVにて死亡させた事件。日本の現在の里子制度は、出産の瞬間から立会い、そこで我が子として天から授かり親子となるシステムです。生まれた瞬間から、里親はおなかを痛めなかっただけで、その子がどんなに障害を負っていたとしても、選り好みは許されず、自分の子供として育て上げなくてはなりません。この事件は、いろいろ事情がおありでしたことは推察できますが、虐待の跡があったとか。実に腹立たしい状態です。他には、実の幼児を餓死させた事件がありました。病理解剖の結果、かわいそうにも腸の中からはおむつの断片と思われる紙切れが出てきたそうです。

 平成18年1月から20年3月にかけての統計では、日本の0歳児DV死は実は139件ありました。そのうち0か月が26人もいました。婦人科の先生方がその原因を考えたところ、その母親の中には妊婦健診も受けず、妊娠時から母としての子への慈しみの情を育てる気持ちと経済的ゆとりがなかった人たちだった可能性もその一因であるとわかりました。

 子供が騒ぐから親として怒鳴って何が悪い。時には殴ったって、いいではないか!それが教育だ!!と言い切る親もおられます。ごもっともです。しかし、以前にもこのコラムにも書いたように、怒ると叱るは違います。叱るは教育的言葉で言い聞かせながら諭すこと、怒るはただ感情的に怒鳴ってしまうことです。電車の中で子供が走っても平気でいる親、電車のシートに土足で子供が立ちあがってもいても何も言わない親。他人が注意しようものなら逆切れする親。そのような親は、そのまた親の教育自体が、叱ると怒ることの違いをよく認識されていなかったのではないかと思います。

 子供を思う気持ちは、人だけではなく動物はみな共通なものであると思います。今の人の一部には動物以下のヒトがいたというだけなのでしょうか? 私たち親は、叱ると怒ることの違いをしっかり認識して、子供を慈しみ、たくさんの愛情を注ぎ、よく語りかけてその子を育てていかなければならないと思います。