コラム - 院長より

 

Vol.104 2012/1/15

今はじっと耐える時  そして医の原点を活かし続けること

 新年になり、机の書類の山を整理していたところ、雑誌の見開き1ページにわたるエッセイのコピーが出てきました。
 どなたが書かれたものなのか、全くわかりません。(サインはありましたが毛筆による達筆であり、判読ができませんでした)おそらく高僧か、能・歌舞伎の名人がお書きになられたものと思われました。 しかし、読めば読むほどに、1年の初めにふさわしい、静かな、それでいて、とてつもない強いエネルギーが、私の胸に湧き上がってきました。 著者の方には、この場にて無許可で引用させていただく非礼をお詫びいたします。しかい是非 私のコラムの初頭を飾らせていただきたいと思います。(以下原文掲載)

『松樹千年(しょうじゅせんねんの) 翠(みどり) 静かな存在を見逃すことなかれ

 バラは百万本で歌になり、満開の桜の下では飲めや歌えやの大騒ぎ。流行を追うのと同じように、人は一過性の華やかな美しさに集まります。
 一方、一年三六五日変わらず緑を保つ「松」の樹は、話題にのぼるタイミングがありません。しかしその力強い姿と青々とした生命力は素晴らしいものです。
 「松樹千年翠」は、そんな松を讃えた禅語です。
 移ろいやすい世の中の現象に振り回されず、黙って命を活かしている存在があることに気づきたい。能舞台に描かれた松はどんな題目をも引き立てます。
 松はいつでも変わらぬ緑に見えますが、実は春には黄緑色の若々しく柔らかい新芽が出て、濃いグリーンの葉は順に茶になり落ちていきます。変わらぬように見えてもじっとしているだけでは現状を維持できない。松の目立たぬ変化は私たちへの教訓です。』

 今は医療界も混とんとしています。医療費節減のための大義名分のもとに始まった種わけ政策に端を発して、医療上でも様々な改変が起きています。3月からは、病名と薬処方の内容が合っていないと全額病院・クリニックが国にお金を返さなければならない突合と呼ばれる制度が始まります。私のクリニックでも、昨年は受付順番制の問題や、震災後の経営状況に伴う様々な節減などいろいろな問題がありました。


雪の松:1月中旬在宅診療で訪れた羽田の患者さん宅にて

 当院は今年、経営・人事(業務内容)ともにさらに無駄を省きます。
 そして昨年7月から導入した受付順番制によって結果的に長い待ち時間にしてしまった受付方法を、この春から予約制を基本とする新制度に改めます。
 さらに体調が非常に悪い方を診療前に看護師が容態聴取を行い、なるべく早めに診療に誘導する制度を始めます。
 具体的には石倉主任看護師に、重いご容態の方の症状をより早く把握してもらい、私からの指示に従って早急に必要な処置を施し、院内で可能な限り1階から4階まで動いて診る“メデイカル・コンシェルジュ”という役割をお願いしました。
 また訪問看護師としても私の片腕となって在宅診療の患者さんに接してもらうことにしました。
 皆さん どうぞ気軽に石倉コンシェルジュにお声かけください。
 いずれにしても、皆さんの傍に侍る(はべる)という、私の医の原点の炎を今年は静かに燃やし続けようと思います。