コラム - 院長より

 

Vol.114 2012/11

在宅診療の患者さんに検死が必要か?

11月に入って気候の悪化の為か、残念ながら私の在宅診療で診ています患者さんの中にもご逝去される方がこのところ続いています。その方々の中には、やはりご家族が気づいたときには既におかしく、私が呼ばれ診察する前に間髪を入れずに救急車を呼んで総合病院に搬送され、それでもご病状が回復されずお亡くなりになってしまう方もいらっしゃいました。

今日お話ししたいのは、このように急変して総合病院で死亡された時、総合病院で死亡宣告を下した医師が今までの経過がわからないという理由から警察に届け出をしてしまうことと、警察が何故長時間かけて検死をしなければならないかという疑問です。

先日も私が8年近くも在宅診療で診ていた患者さんが、昨日まで比較的お元気でいらっしゃったのに、夕方ご家族の呼びかけに反応が鈍いとのことで、救急車で総合病院に搬送されました。しかし、救急外来到着時には既に心肺停止状態にあり、そこで蘇生術をある程度までやっていただきましたが不幸にもご逝去されてしまいました。問題はそこからです。私がご家族の希望とのことで大森警察からその救急病院に呼ばれ、この8年間の経過を話し、このような急変も、これこれこういう点から考えられたと述べているのに、検死官への連絡で数時間費やし、結局、その晩はご遺体はご家族のもとに還してもらえませんでした。

今月同じような急変、死亡、検死、その結果ご家族のもとになかなかご遺体をかえしてもらえないという件が、私の在宅患者さんだけで3件続きました。救急病院の先生が今まで診ていないので死亡の原因がわからないとおっしゃるのはまだわかります。しかし、そのあと、今まで診ていた長年の主治医が来て、診て診断書を書けばそれでいいのではないかと強く思います。その経過の中に、事件性がみられた場合は別です。何も事件性がなく、どう見てもご病気もしくは老衰によると考えられる場合には、悲しみに暮れているご家族のもとに、今までの主治医の書いた診断書と共に速やかに還してあげることが必要なのではないでしょうか?

もっと現場を見据えた柔軟な対応を警察および法整備をしてくださるはずである関係の方々に望みます。