コラム - 院長より

 

Vol.120 2013/5

認知症の方に手を当てること

認知症を患われてしまった方は、何もわからない。恍惚の人になってしまっているから。 そうお考えになられている方が、多くいらっしゃいませんでしょうか? 私は、この考え方は間違っていると思っています。

認知症の治療薬にパッチ剤(貼る薬)があります。最近では、喘息やパーキンソン治療薬にもパッチ剤が世に出てきています。今まで飲み薬だけを処方されてきた認知症の方に、このようなパッチ剤を処方してみると、驚くべきことが起きています。

「今まで私に触ってもくれなかったうちの嫁が、最近背中にシップ(パッチ剤のこと)を貼ってくれる。」「息子が朝、必ずシップを貼りながら肩を揉んでいってくれる」etc. もの忘れが強く表情がなかったご高齢者が、ニコニコしながら、こんなことをおっしゃってくれるようになった場面を何度も見るようになりました。

認知症を発症したとしても、誰も目を向けてくれなくなってはとても淋しいものです。平原綾香さんのジュピターという楽曲の中に「私のこの両手で何ができるの・・・」というくだりがあります。私たちは、たとえばパッチ剤をはったり、アロマセラピーやタクテイール・ケアという手法を用いてご高齢者に手を当てることを積極的に行い、もっとコミュニケーションをもつことが必要なのかもしれません。手当てすること、それはまた医療の原点でもあります。