コラム - 院長より

 

Vol.130 2014/3

先祖の数

三月上旬に父の3回忌があり帰省しました。法要の終わりの頃、御住職が話された説話が心に響きました。

「皆さん、ご先祖様の数を考えたことがありますか?ご先祖様というと、祖父母、曾祖父あたりのことをまず思い浮かべます。でもまず10代くらい前まで、さかのぼって考えてみましょう。1世代を30年としますと、10代で約300年前、ちょうどその頃は太平の江戸時代です。あなたが今ここにいるのは、あなたのご両親がいて、そのまたご両親がお二人ずついて、さらにそのご両親がお二人ずつと考えていくと、2、22、23・・・・210、つまり、2人が4人、8人、16人、32人、64人、128人、256人、512人、1024人となり、この300年の間に1024人のご先祖様がいたことになります。そのどなたか一人でも欠けていたら、今のあなたはいらっしゃらない。大飢饉もあったでしょう。大火も大地震も大津波もあったでしょう。今ほど医療も発達しておらず、お寺の過去帳を見るとお子さんの戒名が異常に多かった時代です。そんな時代をくぐり抜け、1024人のご先祖様が成人に達するまで生きて生きぬいてくださったために今のあなたがいるのです。まさに奇跡であり、そのありがたさを感じます。大切な命なのです。

来月8日、4月8日はお釈迦様の誕生日です。お釈迦様は生まれるとすぐ7歩あるき、右手で上を指し左手で下を指し、天上天下唯我独尊と言ったそうです。天上天下唯我独尊とは、現代ではややもすると自分が一番偉い、自分だけが一番尊い大事な存在と解されがちですが、本当の意味は、天上すなわちあの世でも、天下すなわち現世でも、あまねく全ての一人一人の命が大切なのです。

ご自分が今生きていることの意味、この300年だけでも1024人のご先祖様がいてくれた意味を考えてみてください。」

この説話を聞き、江戸中期の300年前で1024人でしたが、例えば武田信玄が諏訪を攻めていた約500年前、つまりさらに5世代前を考えると1024人が2048人、4096人、8192人、16384人、32768人、なんとあの戦乱の時代といわれた時代から考えると、3万2千余人以上のご先祖様が生きてくれたから今の自分がいる。戦乱の世で、この3万2千余人以上の中の、どなたか一人でもいなかったら今の自分はいなかった。そう考えたらとても驚きました。500年前の戦国時代以降などは時代劇でしかしりませんが、その中に、お目にかかったことのない自分の先祖がこんなにもたくさんいて、大切なのは、その中のお一人でもいなかったら、今の自分はいなかった!

父の法要での説は、まさに父が語りかけているように思えてなりませんでした。命を大事にして今を生き抜くことの大切さを改めて考えました。