よくわかる Dr.くどうのミニ・レクチャー

第1回 頭にケガ、あとから脳に出血!“慢性硬膜下出血”

 頭を打ってから、その時はなんでもなかったのに、しばらくして頭蓋内に出血するのがこの病気です。ご高齢の方が、頭部にケガを負ってから2?3ヶ月後に、頭痛・頭重感の他、歩きづらい・箸や茶碗が持てない、尿を漏らしてしまう、トンチンカンな言動をするようになった場合、この病気を考えなくてはなりません。脳の表面の細い静脈が外傷により切れてジワジワと出血が続くことが原因で、

 脳を覆っている硬い膜(硬膜)の下と脳の表面に血がたまることがこの病名の由来です。脳実質内の出血ではないため、局所麻酔下で頭蓋骨に親指の爪くらいの孔をあけ、挿入した管から血腫を洗い流す1時間程度の手術で通常は完全に治ります。

 頭を強く打ったら、その時だけでなく3ヶ月後位までに再度、脳の精密検査を受けましょう!!

写真1 写真2

 実際にあった典型的なケースを、ご紹介します。

 71歳の男性です。去年の暮れ、雪の朝滑って転び、目から火が出るほど頭を強打しました。

 その時に、当院で撮ったヘリカルCT(左)では全く問題ありませんでした。でも、徐々に歩きづらくなり、歩くと左に寄って行ってしまったり、左手で茶碗がもてなくなり、今年の2月の初旬までには尿失禁や痴呆症状がでてしまい再受診になりました。この時のヘリカルCT(右)では、頭蓋骨と脳の間に灰色の三日月の血腫(⇒)が認められ、これにより脳のシワが消え、黒いハの字の脳室の対称性が崩れて、対側にゆがんでしまいました。 脳の悲鳴が聞こえますNO!!!